最近、「スピ系おばさん」という言葉を耳にする機会が増えています。本記事では、スピ系おばさんが蔓延する背景と理由を解説し、さらにスピリチュアルにのめり込みすぎた「やばい人」の見分け方を紹介します。スピ系ブームの裏側と対処法を知り、人間関係を円滑に保つコツを押さえておきましょう。
スピ系おばさんとは?
スピ系おばさんとは、スピリチュアルな世界観に強く傾倒しがちな中高年女性のことです。占い・ヒーリンググッズ・自己啓発セミナーなど「見えない力」に強く興味を持ち、自らの生活にも取り入れている人たちを指します。
もともと「スピリチュアル系」という言葉自体は単に精神世界への関心層を指す中立的な表現ですが、熱心な層に中年女性が多い現状から、やや揶揄を込めて「おばさん」と称されるようになりました。
彼女たちは占いやパワースポット巡りが好きで、「エネルギーがいい」「波動が高い」など独特の言い回しを日常的に使うのが特徴です。スピ系おばさんという言葉にはネガティブなニュアンスも含まれますが、それは行き過ぎたスピリチュアル信奉が周囲に奇異な印象を与える場合があるためです。
スピ系おばさんが蔓延するのはなぜ?
近年スピリチュアルに傾倒する中高年女性が目立つのは偶然ではありません。主に考えられる背景として3つの理由があります。ここではスピ系おばさんが蔓延する要因となっている理由を順に解説します。
理由1 女性の直感志向と心理的ニーズが合致している
第1に、女性特有の直感や共感を重視する気質が、スピリチュアル思想と相性が良いため、中年女性に広まりやすいと考えられます。一般に女性は論理より感覚を大切にする傾向があると言われ、悩み事への対処でも感情や直感を頼りにしがちです。
実際、対人関係や将来への不安を占いやヒーリングで解消しようとする女性は少なくありません。例えば、「友人関係がうまくいかないのは前世の因縁かも」といった考え方に共感し、スピリチュアルな解釈で安心感を得るケースです。
仕事や家庭でストレスを抱える中高年女性にとって、目に見えない力に頼ることは心の拠り所になりやすく、結果として同年代の仲間内でもスピリチュアルブームが広がりやすい環境があります。
理由2 人生の転機や不安から救いを求めている
第2に、中年以降にスピリチュアルへ傾倒する人が増えるのは、人生の転機や危機を経験し、「何かに救いを求めたい」心理が働くためです。
40代以降になると病気・離別・退職など大小様々な試練に直面しやすくなります。その過程で「このままではいけない」「人生の意味を知りたい」といった思いが強まり、従来の価値観では割り切れない心の空白を埋める手段としてスピリチュアルを受け入れる人が多いのです。
例えば、大病を患った女性が、医学的治療に加えてパワーストーンや祈祷などに縋るケースが典型です。「科学では説明できない力のおかげで奇跡的に快復した」と感じれば、さらに深く信じ込むでしょう。
また、中年期は子育ての終了や親の介護など環境変化も重なり孤独や不安を感じやすい時期です。その心の隙間を埋めるコミュニティとしてスピリチュアルな集まりに参加し、いつの間にかのめり込む人も少なくありません。こうした切実な心理的ニーズが、スピ系おばさん増加の一因となっています。
理由3 ビジネス化したスピリチュアル市場の影響
第3に、スピ系おばさんが増殖する背景には、スピリチュアルの商業化によるマーケット拡大もあります。近年、占いサイトや自己啓発セミナー、開運グッズ販売などスピリチュアル関連ビジネスが中高年女性を主要ターゲットに急成長しました。
スピリチュアル界隈の教祖的人物が華美な成功者としてもてはやされ、「お金を払えば自分もああなれる」と錯覚させる構図も指摘されています。実際、スピ系カリスマの中には高級ブランドに身を包み、「宇宙の法則で豊かになれる」と称して高額なセミナー受講料を募る人物もいます。
こうしたビジネス色の強いスピリチュアルに多くの人が引き寄せられ、「学べば得をする」「信じれば開運する」という謳い文句につられて入信者が増加する側面があります。その結果、熱心な信奉者が自ら周囲に布教し、更に仲間を増やしていくという連鎖も生まれています。スピリチュアル市場の拡大と商業的手法の蔓延が、スピ系おばさんを増やす土壌となっているのです。
スピリチュアルでやばい人の見分け方
スピリチュアル自体は本来ポジティブな自己探求ですが、度が過ぎると周囲に迷惑をかけたり自分自身を不幸にしてしまいます。では、「この人はちょっとやばいかも」と警戒すべきスピリチュアル依存者はどのように見分ければよいのでしょうか。ここでは危険なスピ系人物に共通する3つの兆候を紹介します。
その1 金銭要求が激しい
まず注意すべきは、スピリチュアルを口実に高額な金銭を要求してくる人です。典型的なのは「〇〇しなければ不幸になる」と不安を煽って高額な壺・お守りを買わせたり、「この有料セミナーに参加すれば絶対幸せになれる」と入会金を支払わせるケースです。
実際、「お金を払わなければ不幸になる」「このセミナーに参加すれば幸福になれる」といった理由で法外な料金をだまし取られる事例が報告されています。何万円もするパワーストーンを買わされたり、数日の講習に数十万~数百万円を支払った例もあるほどです 。
やたらと金銭の話が多い相手や、有料の商品・講座への勧誘が頻繁な相手は要注意と言えます。大切な資産を失うだけでなく、借金を抱えて働き詰めになり、家族や友人との関係まで壊れてしまった例もあります。高額なお布施や購入を迫られたら、きっぱり断るか信頼できる第三者に相談しましょう。
その2 不安や恐怖心を煽る
次に、「不幸になる」「呪われている」などと恐怖心を植え付けて支配しようとする人も危険です。悪質な自称ヒーラーや霊能者の中には「〇〇をしないと災いが起きる」と脅すような手口で信者を従わせる者がいます。実際に「こうしなければ不幸になる」といった脅し文句や巧みなマインドコントロールによって、相手の言いなりにさせてしまうケースがあります。
たとえば「あなたには悪い霊が憑いている。このお祓いを受けないと家族が事故に遭う」といったことを言われると、不安に駆られて高額なお祓い料を払ってしまう、といった具合です。このように恐怖心を煽る人物は非常に危険で、関わりを深めるほど冷静な判断力を失いかねません。
一度相手の言葉を盲信してしまうと、「もっとお金を積めば助かるはず」「言うことを聞かない自分が悪い」などと更にのめり込んでしまう悪循環に陥りがちです。少しでも威圧的な雰囲気や不安を煽る発言を感じたら、その相手から距離を置くことが大切です。
その3 自分の価値観を他人に押し付ける
最後に、スピリチュアル信念を周囲に執拗に押し付けるかどうかです。スピ系おばさんが周囲から敬遠される最大の理由は、自分が信じる教えを他人にも強要しがちな点にあります。「あなたのためを思って言っているのよ」と前置きしつつ、「悪いエネルギーを浄化すべき」「○○しないと運気が下がるわよ」などと相手の生き方に口出しするケースです。
どれほど本人が善意でも、一方的な押し付けは相手にとって迷惑になりかねません。実際、興味のない人にとって「波動が…前世が…」と熱心に語られるのは理解しがたく、不快感を与えてしまうこともあります。例えば、新しく知り合った人に対し毎日のように長文LINEで「ツインソウルだから出会えたの」「次元上昇して現実逃避しながら生きてきました」といったスピリチュアル満載のメッセージを送りつければ、相手は戸惑い恐怖すら感じるでしょう。
実一度会っただけの相手に「生年月日を教えて、相思相愛度を占おう」などと連日送って引かれてしまった例もあります。こうした極端な例でなくとも、相手が求めていないのにスピリチュアルの話題ばかり振る人は要注意です。悪気はなくても相手の価値観や自己決定権を尊重できていない証拠であり、人間関係のトラブルにつながります。
直感的な生き方をしている人が多いのか?
スピ系おばさんの特徴として「直感的な生き方をしている」という指摘がありますが、確かに彼女たちは自分の感覚や宇宙のメッセージを重視する傾向があります。前述の通り、女性は直感や感情を軸に物事を判断する人が多く、スピリチュアル好きな人々は特にその傾向が強いようです。
「なんとなく良い予感がするからこの道を選ぶ」「心の声に従って決めた」という具合に、論理よりフィーリングを優先して日々の意思決定をするケースが目立ちます。直感を大切にする姿勢自体はポジティブで、自分の本心に素直に生きているとも言えます。
しかし一方で、直感だけに頼りすぎると現実的な判断を誤るリスクもあります。スピ系おばさんの中には「嫌な感じがするから病院に行かない」と健康診断を避けて悪化させたり、「これは運命だから」と怪しい副業に手を出して失敗する例も見受けられます。
直感的な生き方をする人自体は珍しくありませんが、大事なのは直感と理性のバランスです。感じたままに行動しつつも、必要な場面では事実確認や周囲の助言にも耳を傾ける姿勢が求められるでしょう。
人間関係を壊さないように注意しよう
スピリチュアルへの傾倒は本人の自由ですが、行き過ぎれば自分も周りも不幸にしてしまう危険性があります。スピ系おばさんが増えている背景には様々な要因があり、決して一概に否定すべきものではありません。
ただし、周囲に押し付けたりお金や不安につけ込む形になると、家族や友人との信頼関係さえ崩れかねません。実際にスピリチュアルにのめり込んだ結果、生活資金をつぎ込んで借金を抱えたり、長年の親友に愛想を尽かされて孤立してしまうケースも報じられています。
人間関係を壊さないためには、相手の価値観を尊重し自分の信念を押し付けないことが大切です。もし身近にスピリチュアルに傾倒しすぎている人がいても、頭ごなしに批判すると角が立ちます。適度な距離を保ちつつ、相手が困ったときには専門機関への相談を促すなど、冷静にサポートしましょう。スピリチュアルとの上手な付き合い方を心がけ、大切な人間関係を損なわないよう注意することが肝要です。
参考文献
- スピラボ「スピリチュアル系のおばさんが増えている理由と特徴を徹底解説」(2025年3月2日公開) https://spirituallabo.com/spiritual-lady-characteristics (2025年9月17日取得)
- キャリコネニュース「「宇宙からメッセージが降りてくるんです」相談にやってきた”スピ系”女性、詳しく話を聞くと……」(2021年6月13日) https://news.careerconnection.jp/news/social/119729/ (2025年9月17日取得)
- マイナビウーマン「スピリチュアルってやばいの? 危険といわれる理由や怪しいスピリチュアルの見分け方」(2024年6月12日) https://woman.mynavi.jp/article/240612-14/ (2025年9月17日取得)
- PRESIDENT Online「真偽不明な健康情報やスピ情報を送る相手に圧と念を感じさせる”恐怖のおばさん構文”の実例」(2023年5月8日) https://president.jp/articles/-/68949 (2025年9月17日取得)


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