丑の刻参りに遭遇したら追いかけられる?対処法と注意点を解説

丑の刻参りに遭遇したら追いかけられる?対処法と注意点を解説

夜中、人けのない神社で白装束の人が藁人形を木に打ちつけていた──それが噂の「丑の刻参り」だったらどうしますか?

実のところ、丑の刻参りを目撃したら「追いかけられる」という話もあります。誰かを呪っている人に追いかけられるなんて考えただけでも身の毛がよだちますよね……。

本記事では、丑の刻参りの意味や基本ルール、遭遇した際に本当に追われる可能性があるのかを検証し、万一追いかけられた場合の対処法と注意点を解説します。

目次

丑の刻参りとは?

丑の刻参りとは?

丑の刻参りとは、深夜(午前1時~3時ごろ)に神社で藁人形を使って特定の相手への呪いを実行する、日本の古くからの呪術的な儀式です。 強い恨みを持つ主に女性が、憎い相手に見立てた藁人形(わら人形)を五寸釘(ごすんくぎ、約15cmの釘)で神社の御神木に打ち付けて相手の不幸や死を願います。

典型的な丑の刻参りでは、行う者は白装束に身を包み、頭に鉄輪(かなわ)と呼ばれる金属製の輪をかぶせてろうそくを灯し、深夜の神社で一人呪いの言葉を唱えるという不気味な姿になります。

この儀式は古来より「他人に見られてはいけない」という禁忌があり、成功すれば満願の日に相手が亡くなると信じられてきました。つまり、丑の刻参りは民間伝承として「恨みを晴らすための深夜の呪いの儀式」と言えるでしょう。

丑の刻参りの基本ルール

丑の刻参りにはいくつかの基本ルールがあります。これから代表的な5つのルールを説明します。

伝承 丑の刻参り
区分 内容
時間帯 深夜の「丑の刻」(午前1時〜3時ごろ)、特に丑三つ時(午前2時前後)が最も効果的とされる。
期間・回数 7夜連続で行うと呪いが完成すると伝わる。
地域によっては21日間や100日間の説もあるが、7日目に成就する形が典型。
途中で欠けると無効になるとされる。
場所 神社の境内、とくに御神木(神聖な大木)。
深夜に人知れず行うことで霊的な力を得るとされたが、現代では夜間の侵入は不法行為。
道具・方法 藁人形・五寸釘・金槌を用いる。
人形に対象の名前や髪の毛などを付け、御神木に押し当てて釘を打ちながら恨み言を唱える。
他人に見られると失敗すると信じられてきた。
服装 白装束、頭に鉄輪や五徳をかぶり3本のろうそくを灯す。
一本歯下駄、顔に白粉、口に櫛、胸に鏡を下げるなど、鬼女を思わせる姿で行われた。
能『鉄輪』の影響が大きい。

以上が丑の刻参りの基本ルールです。「深夜の神社で、人目を避け、藁人形に釘を打ちつける呪術儀式」というのがその本質になります。これらのルールは江戸時代までに形が整ったとされ、現在まで怪談や伝承として語り継がれています。

丑の刻参りに遭遇したら追いかけられる?

結論から言えば、丑の刻参りを偶然目撃してしまった場合、追いかけられる可能性は高いと民間伝承では語られています。なぜなら、実際、昔から「丑の刻参りをしているところを誰かに見られると呪いが台無しになるので、見た者は殺される」という恐ろしい言い伝えが各地に残っているからです。

例えば、滋賀県の伝承では、深夜に丑の刻参りを見かけた人が術者に探し回られ、見つかれば殺されていたとも伝えられています。このように、「目撃者は消される」というのが古くからの俗信です。

前述の通り、この呪いは「他人に見られた時点で効果が失われる」と信じられています。どれほど入念に恨みを込めて儀式を行っても、第三者の視線に晒された瞬間に霊力が途切れてしまうという考えです。実際、江戸時代の奇談集などにも「人に見られれば効験なし」といった記述があります。そのため、術を行う本人からすれば、せっかく命がけで続けてきた呪いが目撃者のせいで無駄になるわけです。

したがって、術者はその禁忌を破った相手に強い敵意を抱くと考えられます。丑の刻参りをするほど憎しみに囚われた人は、誰かに邪魔されることを極端におそれるはずです。なかには、「見なかったことにさせる=目撃者を排除する」という極端な行動、すなわち全力で追いかけてくる・襲いかかるという事態に繋がることもあり得るかもしれません。

丑の刻参りに遭遇して追いかけられたときの対処法

丑の刻参りの現場に運悪く遭遇し、術者に見つかって追いかけられた場合、命の危険に直結する非常事態です。ここでは具体的な対処法3つを順に説明します。

方法1:見つからないようその場から離れる

まず最優先すべきは、「見つからないうちに静かにその場から離れる」ことです。 遭遇してしまっても、まだ相手に気付かれていないならチャンスです。物陰に隠れて息を潜め、相手の注意がそれた隙に足音を立てずに遠くへ逃げましょう。

このとき、決して興味本位で近づいたり、相手の顔を覗き込んだりしないでください。 好奇心を抑え、「見なかったこと」にして安全圏まで退避するのが最善策です。丑の刻参りの現場を目撃したら、もはやそこは通常の犯罪現場と同じと考え、身を守る行動を取りましょう。

方法2:見つかったら全力で逃げる

もし相手に見つかってしまったら、躊躇せず全力で逃げてください。術者はこちらを排除しようと本気で追ってくる可能性が高いため、一刻も早く距離を取る必要があります。

大声で助けを求めながら明るい方や人のいる方へ逃げるのも有効です。近くに24時間営業のコンビニや飲食店、自動販売機の明かりなどがあれば、そうした人目につく場所まで走りましょう。

相手は人目を嫌がるはずなので、明るい場所や他人の助けが得られる環境に飛び込めば追跡を諦める可能性もあります。暗い夜道では転倒など二次災害の危険もありますから、足元に注意しつつ全速力で逃げ延びてください。

方法3:安全が確保できたら通報する

なんとか撒いて安全を確保できたら、速やかに警察に通報しましょう。 丑の刻参り自体は呪術ですが、実際には複数の犯罪行為に該当します。

深夜の神社に無断で立ち入れば建造物侵入または不法侵入罪、御神木に釘を打てば器物損壊罪、さらに「死ね」と書いた藁人形を相手に送りつけたり脅した場合は脅迫罪にもなり得ます。現に藁人形を用いた脅迫で逮捕された事例もあります。

こうした違法行為をしている人物は極めて危険なので、プロである警察に知らせるのが一番です。通報するときは「神社で誰かが釘を打って追いかけられた」と事実を伝え、必要なら身を隠せる場所から110番通報してください。自分だけ逃げ延びても、他の人が被害に遭う恐れもあります。勇気が要りますが、警察に任せることが最終的な解決策となります。

もし上記の方法が通用しない場合、自らも相手と一緒に狂った様相を演じるのも一つの手段です。すなわち、奇声をあげて、まるで呪われた人形のような異常行動を取ることで、相手もまた恐怖を感じる可能性があります。

丑の刻参りで追いかけられた時の注意点

最後に、丑の刻参りに遭遇してしまった際の注意点を3つ挙げます。相手の特徴や状況を理解し、冷静に対処するために押さえておきましょう。

特徴1:相手は凶器を持っている可能性が高い

丑の刻参りを行う人は、護身用や儀式の一環として刃物や凶器を所持している場合があります。したがって、追いかけられた場合は相手が武器を持っている前提で行動してください。決して立ち向かったりせず、物陰に隠れる・距離を取るなど一方的に逃げることが肝心です。

特徴2:術者の心理状態は異常である

丑の刻参りを実行している時点で、相手は常軌を逸した強い恨みに囚われています。精神的に極めて興奮状態であり、理性的な対話は期待できません。話し合いや説得は逆効果で、相手をさらに刺激するおそれがあります。

また、恨みの感情が頂点に達している相手は、自分が何をしているか客観視できない状態です。いわば「狂気」の沙汰であり、追いかけてくる最中も正常な判断力はありません。目撃者にすればただ偶然見ただけでも、術者からすれば「人生を懸けた呪いを邪魔された仇敵」に映ってしまうのです。

このような危険人物に対峙したら、「話せば分かる」は通用しないと肝に銘じ、こちらは安全第一で逃げ延びることだけを考えてください。

特徴3:現代でも起こり得る現実の脅威と心得る

丑の刻参りは古い民間伝承ですが、その儀式自体は現在も密かに行われている場合があります。各地の神社で藁人形が打ち付けられた痕跡が発見されることがあり、神職がひそかに撤去しているとの証言もあります。つまり、丑の刻参りは決して「昔話の中だけの出来事」ではなく、今なお人知れず続けられている可能性があるのです。

ゆえに、万が一夜間にそうした現場に遭遇したら、それは心霊現象ではなく現実の犯罪・トラブルだと認識しましょう。怖さのあまり「幽霊かも?」などと考えて立ちすくむと危険です。現在でも実際に逮捕者が出ている以上、現実世界の危険事案として冷静に対処することが求められます。「自分が遭遇するわけがない」と油断せず、可能性はゼロでないと心に留めておいてください。

相手は狂っている可能性が高い

丑の刻参りを実行している人物に遭遇したら、相手は常軌を逸している可能性が高く、非常に危険です。ここまで述べてきたように、深夜に呪いの儀式を決行するほどの強い恨みと執着に取り憑かれた人は、理性よりも狂気が勝っていると考えるべきでしょう。残念ながら、そういった相手に対してはこちらが何を言っても聞く耳を持ちませんし、下手に刺激すれば命に関わります。

要するに、「丑の刻参りをしている人=一時的に狂気に陥っている人」と捉えてください。だからこそ、自分自身の身を守ることを最優先に、決して近づかず、見つからないよう逃げるという行動原則が大切になります。

そして安全圏に逃れた後は、警察など然るべき機関に通報し、プロの手に委ねましょう。相手は特殊な状況下にあるとはいえ現実の人間ですから、対応を誤らなければ命の危険から逃れることができます。

くれぐれも好奇心を出したり強がったりせず、「相手は正気ではない」と肝に銘じて迅速かつ慎重に対処してください。それが、あなた自身の命を守ることにつながるのです。

参考文献

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この記事を書いた人

日本オバケモン編集部です。私たちは心霊現象や都市伝説を専門として記事形式で情報を伝達するプロフェッショナル集団です。ライター、編集者、研究者、校閲者から構成されたチームで記事を制作しています。

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